国際ロータリー第2580地区 東京武蔵野中央ロータリークラブ 今週の卓話

「役に立つか!! 鼻の学問」(2017/1/12)

「役に立つか!! 鼻の学問」(2017/1/12)
武田 亨会員


顔のほぼ中央に位置する鼻は万物の長たる霊長類人間特有の隆起の象徴である。江戸時代後期、杉田玄白医の「蘭学事始」によると「鼻はフルヘッヘンドせしものなり」の翻訳に苦労し半日を要したと云われる。然し流石は名医で最終的に「うずたかし」なる名襗を見出した。
 古今東西いずれに於いても鼻の高低、美醜に関心を持つものである。かの堅き哲学者パスカルまでが「クレオパトラの鼻が・・・」と云う始末。山高きが故に貴からずを文字って「鼻高きが故に弇からず」も最もと思われる。
外形も大事であるが鼻そのものの日常的に生理、機能に関心を示す事は少ない。次の4項目が本来の役割だ。
(1)呼吸作用の門戸(入口)
(2)発声・言葉の共鳴作用
(3)味覚と協調して旨みを引出す演出
(4)最重要である五感の一つの嗅覚作用(ニオイ)
鼻腔の周囲を取巻く副鼻腔の存在についてはその作用が現在でもナゾに包まれている。むしろあってはほしくないホラ穴と云っても良い位である。紙面の関係で本日は大事な嗅覚作用に重点を絞りたい。
 嗅覚は人間より動物の方が発達している。理由は人間進化の過程で視覚が発達した為に嗅覚中枢部分野が少なくなったからである。然し人間でも3000縲怩P0000種類のニオイが嗅ぎわけられる。殆どのものがガス状、揮発性のものであり化学感覚と云われる。ニオイは初めは強く感ずるがすぐに慣れてくる所詮順応作用を呈する。その為に悪臭が発する場所でも耐える事が出来る。逆に閉め切った部屋で徐々にガス漏れが起こるとその内にいる人は気付かず危険となる。
 ニオイは「匂い」と「臭い」をがある。前者は香りとも云い換えられて良いニオイを現わす。例を挙げるとメロン、リンゴ、バナナ等の果物。ラン、水仙、シャクヤク等の草花。モクセイ、ジンチョウゲ、バラ等の樹木の花。挽きたてのコーヒー豆、煎じたての茶。焼きたての菓子やパン等日常で具体的に感ぜられる。抽象的には赤色や黄色が映えて美しい様子を俳句、和歌、短歌、童謡等に現わされる。
 一方臭いは悪い印象を与えることに使われる。具体的には生ごみ、糠味噌、クサヤ。ドブ川の下水、廃居のカビ。皮革工場や食肉加工工場付近の空気等がみられる。抽象的には犯罪に臭い、ホシ臭い、ウサン臭い等がある。
 作家の椎名誠氏は「旅のガイドブックにはその国の種々の細かい情報はあるがその国の大きな印象を与えるニオイの情報はまずない。表現しにくいからであろう。」と云っている。10年位前の名国の空港のニオイを次の如く実感印象づけられているので参考までに記してみる。
 (1)韓国:ニンニク、唐辛子、キムチ等の香辛的刺激
 (2)中国:ニラ、ラー油等の油っぽい感じ
 (3)チベット:乾いた土や草の乾ききった感
 (4)インド:カレーもさることながら、粘りきったペットリ感、晴天時に汗ぐささ感
 (5)ヨーロッパ:各種入り混じった香水の刺激感
 (6)アメリカ合衆国:多民族、多人種等で何のニオイか全くわからなかった
 飜って外国人に日本のニオイ問うた解答には「魚」との言葉が圧倒的だったと云われる。然し最近は空港も空調設備が発達して余り差がなくなっている。いい事か或は淋しい事かは各人にお任せとする。
 前述の如くニオイは自分自身ではすぐに慣れてくる所詮順応作用が起こる。然し他人には敏感に感ずるものである。空港内のニオイもその国の人々は気付かなくともよその国の人々には充満するニオイを鋭く感ずるがその事を言葉で伝える難しいのが現状なのであろう。
 「つまってわかる鼻の恩」日常全く意識していないのに日夜休むことなく働き続ける大事な器官を時折思い出して感謝せねばならない。

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