国際ロータリー第2580地区 東京武蔵野中央ロータリークラブ 今週の卓話

「国連機関で働く面白さとやりがい」(2018/5/24)

「国連機関で働く面白さとやりがい」(2018/5/24)
東京武蔵野RC 山本 和さん(紹介 田邊軌夫会員)



○東京武蔵野中央RCのみなさま、本日はお招きいただき感謝いたします。本日はこれまでの経験のなかで、IMFとUNICEFという二つの国連機関で働いたお話をし、国連の役割はいまでも大切なのではないかということをご理解いただきたいと思います。自分で振り返って大変貴重な経験だったと感じているということと、また最近、国連や国際機関で働きたいという若い人が減っていることに危機感をもっていて、国連機関で働く意義について私の経験に基づいて伝えて行きたいと思っているからです。随分いろいろな仕事をして来たように見えるかもしれませんが、私自身の中ではむしろ一貫して関連してきたことをやってきたという気持ちが強く、世界的な視野を持って平和構築に関わる仕事や人材育成に携わってきたと思っています。

○自分のお話をする前に、国連について、振返っておきたいと思います。第二次世界大戦の終了が展望できる状況になったとき、連合軍のリーダーたちのなかに二度と戦争を起こさないようにとの願いから、国連を創設する運動が起こりました。これが短時間で実をむすび、国連は1945年に設立されました。国連本体だけでなく、国連システムを構成する非常に多くの国際機関が国連のもとに協定を結び相次いで誕生しました。わずか2~3年の間にこの壮大なシステムが築かれたのです。如何に多くの人が平和への切実な願いを持っていたかを物語る出来事だったと言えるでしょう。国連システムに共通する目標は平和な世界を築くことです。国連憲章に示された国連の目的は、国際の平和と安全を確保し、あらゆる人の人権を尊重し、そして貧しい国々も含めて豊かな社会と経済を築いて行くということです。

○私は今から60年ほど前にICUに入学しました。入学の際「世界人権宣言」を尊重することを学生宣誓で約束します。その影響あって、同じ目線で人に接することの大切さを身につけたように思います。また、学生時代に初めての外国旅行がインドへの約1ヶ月の一人旅だった(3年生のとき)のですが、その影響は大きく、世界はこんなに違うのか、同時にある意味ではかくも同じなのかと、世界に羽ばたきたいという思いを強めていったと思います。インドに魅せられて南インドについて卒業論文を書いていたのですが、日本銀行が何故か気に入って雇ってくれました。日銀は一般に硬いイメージがあるかも知れませんが、私をそれなりに評価してくれて、留学を認めてもらい、IMFに行くことを薦めてくれ、さらに、UNICEFに行くこともサポートしてくれました。日銀でも内外の枢要部署できちっと仕事をさせてくれました。その後母校の教授になり、大学経営に携わり、若い人の育成に力を入れましたが、そこには、世界平和の実現に何らかの貢献をしたい、それは難しいし、リスクもあるが、そこにはやりがいとか、醍醐味があると思って続けてきたのだと思います。今日、こうしてロータリーに入れていただいているのも、その、職業奉仕とか社会奉仕とか人材育成に意義を感じているからです。また、大学卒業を前にキリスト教の洗礼に導かれたことが、その後の日々の歩みの選択に少なからず影響を及ぼしてこういう歩みにつながったのだと感謝しています。

○それでは、国際公務員はなぜやりがいがあるのでしょうか。それは、使命が明確なこと、広い意味で世界平和の達成を究極の目的としているからでしょう。平和構築は容易なことではありませんが、そのための国際間の合意を形成して来たという重みや正当性(legitimacy)があるからです。現実には使命達成が困難であっても、目標とする使命・理想に向かって努力することには、誇りと意義を感じることができます。意義ある仕事は尊いと言えると思います。また、国連の仕事をすることは、新しい国際基準の作成に加わることでもあります。最近の例では、国連における核兵器禁止条約の成立は、日本政府は参加しませんでしたが、一つの世界基準づくりに参加したと言えるでしょう。ICANのノーベル平和賞受章は、そのことを示唆していると思います。

○さらに、国連機関の理念は、世界の主要な宗教や文化の価値観を包摂する普遍性があります。「全ての人間は生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利について平等である。人間は理性と良心を授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない」で始まる「世界人権宣言」、「戦争は人の心の中に生まれるものであるから、人の心の中にこそ平和の砦を築かなければならない」と主張する「ユネスコ憲章」など、いずれも平和の基本の構築こそ大事だと訴えている。これはとても大切なことであり、同時に易しいことではない。しかしそれを目指そうというのが国連機関に共通する使命です。国際通貨基金も第二次世界大戦前の通貨の切り下げ競争が、世界経済や貿易破綻に繋がり戦争の原因になったという反省から発足し、通貨と貿易の安定的な秩序づくりを通じて世界平和の構築を目指すという基本理念で国連システムの一角を成しているのです。


○それでは、具体的に私の実際のユニセフ勤務経験の中から二つ例をとり「醍醐味とリスク」に関わる思い出を紹介します。

1)子どものための世界サミット実現の体験(1990年)⇒修羅場を乗り越えて実現した喜びと感動、国連会議の成功例。Jim Grant(第3代事務局長)の卓越した理念とリーダーシップ。会議終了の後スタッフに一言“We did it!”に万雷の拍手。

2)内戦下のアフガニスタンを訪れた体験(1992年)⇒内戦下で外交団も駐在せずリスクの高いところにもかかわらず、平和な一時や希望と感動があること。

①日本人女性職員による鶏を育てて母子家庭に与える平和への努力は、紛争下にあって希望への輝きがあった。

②ロケット弾のなかをUN機で帰国した時のリスクと感動。北欧人パイロットのリスクをいとわぬ態度に感動を覚えた。

○最近では、使命ある仕事に従事するとき、喜びがあることを若い人に伝えたいと願っています。

*大学でサービス・ラーニングにより奉仕活動の実体験から真の学びをするプログラムを推進した。

*国連の価値観とは異質な最近の自国主義の登場はグテーレス事務総長の危機感表明につながっている。

*元国際機関職員で構成するグループで高校生に国連の働きを伝える活動を始めている。

 

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